鳥インフル終息も養鶏農家はクラファンで費用工面 埋却地の土地を購入「今後もやっていけるか心配」

2025年3月20日 08:05
愛知県で年明けに発生した「鳥インフルエンザ」がようやく終息しました。毎日の食卓に欠かせない卵の価格の行方は。 
 1月2日に愛知県常滑市で確認されて以降、半田市や阿久比町なども含めてあわせて13の農場に広がった高病原性鳥インフルエンザ。

 17日午前0時をもって全ての制限が解除され、年始から続いた県内の鳥インフルエンザは終息しました。ただーー

「名古屋市内のスーパーです。店頭に並ぶ卵。その販売価格は今後どうなっていくのでしょうか」(メ~テレ 上坂嵩アナ)

 名古屋市内でスーパーを展開する「サンエース」。19日、卵売り場をのぞいてみると、代表的な卵の店頭販売価格は1パック10個入りで279円。

 去年と同じ日と比べると、65円上がっているといいます。

Q.鳥インフルエンザが一旦終息したが、すぐに卵の価格は下がっていくのか
「実は下がる予定がまだない。実際に鶏の殺処分があってヒヨコから鶏になるまで約半年、卵の安定供給も時間がかかると聞いている」(サンエース 宮下裕基 商品本部長)

 愛知でも今回、過去最多となる186万羽が殺処分となりました。その大半は鶏です。
 

名古屋地区の卵の卸売価格

食卓に欠かせない卵 店は試行錯誤
 農家の経営再建、そして卵を出荷できるようになるまでには相当な時間がかかります。毎日の食卓に欠かせない卵。少しでも手に取ってもらえるようにと店側も工夫をしています。

「他のスーパーは300円超えているところが多くなってきている。(サンエースでは)サイズが2種類ミックスされている卵を販売。卵の選別の手間をかけない分費用をおさえている」(宮下商品本部長)

 JA全農たまごによると名古屋のМサイズの卸価格は直近で1kgあたり340円前後。
1年間の推移を見てみると、去年の3月と比べて1.6倍近くになっていました。

Q.卵は高くなっても買いますか
「買っちゃう。ないと困るからサンエースで買う」(買い物客)

Q.卵が安くなるのは当分先だそうだが
「そうなんです。ちょっと痛いなという感じ。朝食やお弁当によく卵を使っていたが、ちょっとやっぱり… 。人数分使うと大変なので」(買い物客)

 人件費の上昇にエネルギー価格やエサ代の高騰も重なり、卵の価格が落ち着くかどうかは見通しにくいのが現状です。
 

返礼品にはチキンカレーセットなど

養鶏農家はクラファンで費用を工面
 一方、終息後も養鶏農家は緊張が続いています。

「ひと安心というのが一つ。ただ、まだ鳥インフルエンザの季節ではあるので、もし(感染が)出た時に早期に通報するために、いつものモニタリングで鶏のチェックは欠かさず特に気を付けて行動している」(知多養鶏農協 斎藤大士さん)

 約20の養鶏農家でつくる知多養鶏農協。このうち3つの農家が持つ4つの養鶏場で鳥インフルエンザへの感染が確認されました。知多半島の農家で感染が確認されるのは初めてのことでした。

「実際に国や県から補助はあるが、すべてが補助されるわけではなく電気代や水道代、従業員の人件費、新たな埋却地の土地を購入する費用があるので、(感染が確認された農家は)今後もやっていけるのか心配と言っていた」(斎藤さん)

 元の状態に戻すには1年半から2年ほどかかると言います。その間に発生する費用をどう工面するのか。斎藤さんら若手の組合員が考えたのがーー

「クラウドファンディングのお金を集めて被災した農家に分配できればと考えていて、防疫をよくするための費用に使ってもらえたら」(斎藤さん)

 今月13日。目標額を100万円としてクラウドファンディングを始めました。

 返礼品は農協所属の農家の鶏肉を使ったチキンカレーセットや親子丼の素など。集まったお金は感染が確認された3つの農家で分配し、農場再建や感染対策の強化などにあてる予定です。
 

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