加納虹輝がフェンシング個人種目で日本初の金、中学の恩師「感動で涙」 愛知県あま市

2024年7月29日 16:49

フェンシングの個人種目で、日本勢初の快挙です。愛知県あま市出身、加納虹輝選手(26)が男子エペで金メダルを獲得。地元からは夜通し、熱い声援が送られました。

加納選手と、中学時代の担任の藤澤先生

 29日午前2時半過ぎ。あま市役所には続々と集まってくる人々が――。

「あま市の誇りなので、頑張ってほしい。眠くないです」(職員)

 あま市出身のフェンシング・加納虹輝選手。

 前回2021年の東京五輪では、加納選手も出場した男子エペ団体が日本フェンシング界で初の金メダルに輝きました。

 種目名の「エペ」と、感動した時の「ジーン」を合わせた言葉「エペジーン」は、流行語大賞にもノミネートされました。

 その功績をたたえ、あま市にある名鉄の駅には、金色のポストが設置されました。

 個人でのメダル獲得も目指し、迎えたパリ五輪。加納選手は1回戦から順調に勝ち上がっていきます。

 

あま市役所で声援を送る職員たち

あま市役所で夜通しの「虹輝!」コール

 そして迎えた決勝。相手は、開催国フランスで「英雄」と言われる選手ですが、完全アウェーの雰囲気にのまれることなく、点差を広げていく加納選手。

「もちろん強い選手だっていうのもわかっていましたし、厳しい戦いになるとは思っていたんですけど、前半リードできたことが僕の中で勝因だという風に思っています」(加納選手)

 決勝が始まったのは、日本時間の午前5時すぎ。あま市役所には約40人が詰めかけ、声援を送りました。

「虹輝!虹輝!虹輝!」(職員たち)

 地元が一段とヒートアップしたその直後、日本人初となる個人種目での金メダル。東京での団体金メダルに続き、新たな歴史を打ち立てました。

「今まで積み重ねてきたものとか、応援してくれてた人たちの分も重みを感じますし、本当に感極まります」(加納選手)

 

喜びを語るあま市民

夜が明け、市民からも喜びの声

 夜通し、熱い声援が響いた、あま市役所。外に出るときれいな朝日が。

 再びの快挙に、あま市民からも――。

「すごいなって思います。誇らしいです」(あま市民)
「身近なところでそんな人が出たってことはあま市の宣伝にもなるし、全国的にあま市が知られることは誇りに思う」(あま市民)

 市役所には加納選手本人から借り受けた、メダルの数々や競技で使う剣が展示され、真剣な表情で見入る人も。

 さらに加納選手の母校、あま市にある「美和中学校」にもゆかりの品が。

「こちらが加納虹輝選手の手形です」(美和中学校 城知広 教頭)

 東京五輪での団体金メダルを記念して作られました。

「身近な先輩がこのように世界の強豪と勇気をもって戦う姿は、子供たちの励みとなる、そんな姿だったと思う」(城知広 教頭)

 

美和中学校3年の杉本拓也さん

母校の後輩にも大きな刺激に

「最後は本当に感動して涙がでてきてしまうぐらいうれしくて」(中学3年の時の担任 藤澤太一 先生)

 中学3年の時の担任は、フェンシングに取り組む加納選手の懸命な姿を覚えていました。

「進路選択の際にどうするのか話を進めていくと、『どうしても岩国工業に行きたい』と。岩国工業の先生がロンドン五輪で銀メダルを取った太田選手のロンドン五輪の時のコーチをやっていた方で、そこに行って学びたいと。愛知県外の公立に進学できるのか調べたら、山口県は特例で受け入れられることが分かって送り出しました」(藤澤先生)

 先輩の活躍は、母校の後輩にも大きな刺激を与えました。

「僕はいま中学校3年生でこれから受験生なので、加納選手みたいに果敢に攻めて、勉強も頑張ろうと思いました。団体戦でもう1回金メダルをとってきてほしいと思います」(美和中学校3年 杉本拓也さん)

Q.応援はしますか
「当たり前ですよ!絶対やります」

 

岐阜で開かれたフェンシング選手権に参加した中学3年生

「自分より圧倒的に大きな選手に…」

 フェンシングにひときわ注目が集まった29日。岐阜市では「全国中学生フェンシング選手権大会」が行われていました。

 オリンピックに負けないほどの熱戦を繰り広げる選手たち。加納選手の金メダルについて聞くと――。

「自分より圧倒的に大きな選手に9対15という大差で勝ったのが、努力して強くなったんだなと思った。加納選手は大きい相手にも屈せずに、自分から点を取りに行っていたのですごい。マネしたいと思った」(中学3年生)

 将来の夢は、もちろん――。

「まず自分もオリンピックに出られるように頑張っていきたいし、出られなくても、金メダルを獲るような選手を支えられる存在になりたいです」(中学3年生)

 

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