バスの死角にいた軽自動車にはねられた事故、経験者(81)が語る 道路を横断中の高齢者の事故多発 愛知

2024年7月30日 17:06

去年、交通事故による死者が全国でワースト2位だった、愛知県。警察は、道路を横断中の高齢者が、車にはねられる事故が多発しているとして注意を呼びかけています。

 愛知県あま市に住む孫崎勲さん、81歳。日課となっている朝の散歩中、事故にあいました。

 「名古屋に行く車がずらーっと混んでるんですよ、流れが途切れたらいつも通ってたわけ」(孫崎さん)

 おととし2月、朝の通勤時間帯。車の流れが途切れたと判断して、道路を渡っていた時のこと。
   
 「バスがちょうどバス停で止まったもんですから、もう後ろ来ないと思って渡ったんです。だから一歩か二歩行ったときに、バスの後ろから出てきた車にドーンとあたっちゃって。欄干のところに飛ばされた」(孫崎さん)

 停車中のバスの死角にいた軽自動車にはねられた孫崎さん。すぐ近くには、押しボタン式の信号が付いた横断歩道がありますが、なぜ、そこまで行かなかったのでしょうか。

 

高齢者に聞いた「横断歩道を利用しない理由」(愛知県警の意識調査による)

横断歩道を利用しない理由とは

 「一人横断するのに止めちゃうと車に迷惑をかかると思ったもんで。だからいつもは隙間を見て通ったってことですね。間隔みていけばいけると、そういう自信あったんですけど。まさかそんなバスの後ろで、車が出てくるとは思わなかった。一瞬一瞬、ほんの一瞬です」(孫崎さん)

 孫崎さんは右足首を骨折し、一命を取り留めましたが、同じように道路を横断していた高齢者がはねられ死亡するケースが後を絶ちません。

 「昨年中、横断中の歩行者で亡くなられた方の約7割が高齢者です。今年も6月末まで、高齢者の方が約9割となって非常に高い確率、高い割合になっております」(愛知県警察本部 交通部交通総務課 武田謙次警部)

 なぜ、横断歩道を使わないのか。愛知県警が先月から今月にかけ65歳以上の高齢者620人に行った調査では、「横断歩道までが遠いから」が46%、「いつもこの場所を横断しているから」が32%にのぼりました。

 「高齢者の方、若い時に比べて、歩く速度とか目の方も悪くなっておりますので、渡る際については横断歩道が近くにあるのならば、横断歩道を利用してください。また、道路を渡る際危機意識を持って、左右の安全を確認してから車の動きに注意して渡ってください」(愛知県警察本部 交通部交通総務課 武田謙次警部)

 加齢に伴い、視野が狭くなる。身体機能の低下で、周囲の情報からの判断・行動が遅くなる。

 警察は、ドライバーに対してもこうした高齢者の特性を理解した上で、運転中に見かけたら注意してほしいと、呼びかけています。

 

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