“御嶽山噴火”遺族らの控訴審判決 東京高裁は「国の違法性」認めず、損害賠償請求も退ける

2024年10月21日 19:37

死者・行方不明者が合わせて63人にのぼった、10年前の御嶽山の噴火。遺族らが国など対して損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁は、遺族らの訴えを退ける判決を言い渡しました。

 2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火。

 登山者ら58人が死亡、5人が行方不明となりました。

 「10年…もう10年なんだな、というのはありますね、正直」(長山幸嗣さん)

 愛知県豊田市の長山幸嗣さん。

 当時、小学5年生だった娘の照利(あかり)さんを失いました。

 

遺族ら32人は、国や長野県に3億7600万円の損害賠償を求め提訴

一部の遺族は、国や長野県に損害賠償を求め提訴

 長山さんをはじめ、一部の遺族ら32人は、噴火前の国や長野県の対応が不適切だったとして、合わせて3億7600万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。

 気象庁は、噴火までの1カ月ほどの間に、1日に50回を超える火山性地震が発生する日があったことなど、様々なデータを把握していましたが、火山の危険性を示す「噴火警戒レベル」を「2」に引き上げることなく、最も低い「1」のまま継続。

 おととし7月の1審判決では、「気象庁の判断は著しく合理性に欠ける」として、国の違法性を認定しました。

 

1審判決では、原告らが求めた賠償は認められず

1審は「すっきりしない判決」

 一方、警戒レベルを上げるなどの注意義務を尽くしたとしても、被害が生じなかったとは言えないなどと指摘。

 原告らが求めた賠償は認めず、長山さんらは控訴していました。

 「すっきりしない判決だったと思う。国に違法性があるけど、賠償まではいかないという」(長山さん)

 

長山幸嗣さん

東京高裁は、控訴審で長山さんらの訴えを棄却

 21日午後にあった、控訴審の判決。

 東京高裁は「御嶽山は常時噴火をしている火山ではないため、火山学の集積が十分に進んでおらず、気象庁が噴火警戒レベルを1に据え置いた判断が、著しく合理性を欠くということはできない」「違法であるともいえない」などとして、長山さんらの訴えを退けました。

 「(1審判決は)まだ原告側に寄り添った判決だったなとなんとなくわかったが、今回の判決は、あっさりと切り捨てられてしまった感じで、本当に残念でなりません」(長山さん)

 遺族らの弁護人は、判決内容を不服として上告する方針です。

 

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