日本は地震・火山大国 出かける時は必ず最新の情報をチェック【暮らしの防災】
2025年1月12日 14:01
火山は、登山・観光・温泉・最近は地熱発電など、日本人の暮らしとは深い関係にあります。一方、「噴火」とも背中合わせで、1991年雲仙普賢岳、2014年御嶽山と多数の死者を出した噴火災害があり、注意・警戒が必要です。登山、観光で出かける時は、最新の情報をチェックして下さい。
2014年9月27日 御嶽山の噴火(メ~テレヘリより撮影)
火山情報は気象庁HPへ
火山の情報は「気象庁」のHPから入手できます。
気象庁では、本庁(東京)の「火山監視・警報センター」、札幌・仙台・福岡の各管区気象台の「地域火山監視・警報センター」で、活火山の火山活動を監視しています。
気象庁HPより引用
気象庁のHPで公開
これらの情報は、気象庁のHPで公開されています。但し、情報やデータが多く多岐にわたることなどからHPの構成もやや複雑で、知りたい火山の最新の情報に行きつくためには、ちょっとしたコツが必要です。
「キキクル」の地図から火山を選んで、各火山の情報に遷移していく方法がありますが、私は以下の方法で、火山の情報を入手しています。
気象庁TOPページ→「各種データ・資料」→地震・津波・火山の項目にある「各火山の活動状況」→「火山登山者向けの情報提供ページ」です。ここで、お目当ての「火山」を選ぶと、最新情報にアクセスできます。もしくは、「気象庁+登山者向け」で検索です。
火山の定義
火山の定義
少し前まで、約2000年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山を「活火山」、現在は活動していないが歴史時代に活動した記録が残っている火山を「休火山」、歴史時代の活動の記録がない火山を「死火山」としていました。少し年を重ねた方は、学校でそう教わったかと思います(私もですが)。
しかし火山の寿命は長く、数千年にわたって活動を休止した後に活動を再開した事例もあり、また火山の研究も進んだことから「過去1万年間の噴火履歴」で活火山を定義するのが適当であるとの認識が、国際的に広がりました。
そこで日本では、2003年に火山噴火予知連絡会が「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を「活火山」と定義し直しました。「死火山」「休火山」という言葉は、いまは使いません。
岐阜県の火山
日本には111の火山 東海地方には5つの火山
日本には111の活火山があります。世界には約1500の活火山があるといわれ、そのほとんどが環太平洋地帯に分布しています。世界に占める日本の国土の面積は0.25%。にもかかわらずマグニチュード6以上の地震回数は22.9%、活火山の数は7.1%にものぼり、日本は「地震・火山大国」です。
因みに、メ~テレがカバーしている愛知県、岐阜県、三重県には、活火山が5つあります。いずれも岐阜県と長野県や石川県との県境にあります。
焼岳(標高2455m)
アカンダナ山(標高2109m)
乗鞍岳(標高3026m)
御嶽山(標高3067m)
白山(標高2702m)
(上)内閣府防災情報のページ「火山対策 -わが国の火山災害対策 -世界の火山」から引用(下)気象庁HP「地震の起こる場所-プレート境界とプレート内」から引用
日本はまさに「地震・火山大国」
ところで世界の火山の分布を示す上の図は、どこかで見た図と似ていますよね。
そうです。「主要なプレート境界と地震の起こる場所」の図と似ています。実は、火山も地震と同じように「プレート運動」「プレート境界」と深い関係がある…というのが、最近の研究成果です。
そのような場所に位置する日本はまさに「地震・火山大国」なのです。
国立研究開発法人防災科学技術研究所 HPより引用
火山の観測体制
気象庁や防災科学技術研究所など国の研究機関、大学などは、さまざまな計測機器で火山の観測を行っています。
■地震計 火山体及びその周辺で発生する火山性地震や火山性微動をとらえます
■傾斜計 火山体直下へのマグマの貫入等による山体の傾斜を精密に計測します
■GNSS観測装置 GNSS(いわゆるGPS)で火山周辺の地殻の変形を検出します
■遠望観測 監視カメラで噴煙の高さ、色、噴出物、火映などの発光現象等を観測します
この他、空振計、赤外熱映像装置などで、火山の観測を続けています。
噴火警戒レベルと火山活動の状況
噴火警戒レベル
このようなデータを分析し、「噴火警戒レベル」が発表されています。これは火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標で、常時観測火山である50火山のうち、49火山(令和4年3月現在)で運用されています。
<登山時の注意点>
火山を登ろうとする場合、もしくはその周辺の観光地に行く場合は、その火山についての情報をチェックしましょう。前述の気象庁のHPで最新情報を確認できます。
また、防災グッズを忘れずに携帯しましょう。ヘルメット、ヘッドライト、ゴーグル(降灰対策)、火山防災マップ、登山地図、コンパス、携帯電話等の通信機器(予備バッテリーも)、雨具、タオル、非常食(携帯食)、飲料水などです。
2014年御嶽山以降、携帯各社は登山道や山小屋の周辺で通信サービスを使えるように整備を進めています。と言ってもすべての登山道、シーズンで使えるわけではありません。事前に各社のHPで通信可能エリアを確認し、登山中もこまめに電波状況をチェックしましょう。いざ!と言う時の情報収集・連絡手段として使って下さい。
そして「危ない」と思ったら、すぐに身の安全を図ってください。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。