専門家「ロシア軍に余裕ない証拠」ウクライナに“最大規模”攻撃…見える“苦境”
2024年08月28日 10:16
ロシア軍は2日連続で、ウクライナに対し、大規模攻撃を行っています。27日の攻撃で、ウクライナ全土で少なくとも6人が死亡したといいます。
27日はドローンによる攻撃が主体でしたが、前日は、ミサイルを大量に使った激しいものでした。
水力発電所がミサイルで狙われたキーウ近郊。ホテルにミサイルが撃ち込まれた東部。南部では農家の自宅が破壊され、北西部では集合住宅が標的となりました。攻撃は、ウクライナ全土、少なくとも15の地域に対して行なわれました。
向けられた兵器の総数は、ミサイル127発とドローン109機。1日の攻撃としては、過去最大規模です。7人の命が奪われ、50人近いけが人が出ました。
住民
「妻と両親が車に乗ろうとしたら、ミサイルが着弾しました。爆発で、すべてが破壊されました」
住民
「野菜を仕分けしていたら、突然、爆発が起きました。とても怖くて、夫と地下室に逃げました。そのあと、夫は外に出て、私の兄弟が死んだことを知りました。全身、真っ黒で、彼だと認識できませんでした」
キーウでは、市内の地下鉄の駅に5万2000人が避難したそうです。26日の空襲は、8時間以上に及んだといいます。
なぜ、ロシアは、ここまで大規模な攻撃に踏み切ったのでしょうか。
専門家は、ウクライナが始めたロシア領内への地上侵攻に対する反撃だと分析しています。
防衛省防衛研究所・兵頭慎治氏
「今回、第2世界大戦後、初めて外国軍によるロシア領内への地上侵攻が起きた。それでもプーチン大統領は、核使用に踏み切ることはできない。ある意味、ウクライナ全土攻撃以外に、ロシアが取り得る報復手段はない。(報復攻撃で)軍事的な対応を行ったことをロシア国内にアピール。もう一つは、報復攻撃があると、ウクライナ側に認識させることで、現在のクルスク州への地上侵攻の軍事的な動きを抑止していきたい狙い」
ロシア南西部・クルスク州で行われている逆侵攻。“このままロシア領土を標的にするならば、大きな代償を払うことになる”というメッセージだったのかもしれません。
加えて、ウクライナは、長距離タイプのドローンを使ったロシア領内への攻勢も強めています。
26日、ロシア南西部・サラトフ州のタワーマンションに激突したドローン。女性1人が重傷だといいます。
現地メディアなどによりますと、ウクライナ軍は、そこから10キロ先にあるロシア軍の戦略爆撃機部隊の基地を標的にしていましたが、新築マンションの情報がなく、ぶつかってしまったとみられるそうです。
ウクライナは、ロシアのベルゴロド州にも地上侵攻を仕掛ける動きを見せています。
ロシア軍が過去最大規模の攻撃をした後も、ウクライナ軍が、新たな越境攻撃の動きを見せるなど、双方、応酬が続いている状況です。
民間人にも被害が出ているが、ゼレンスキー大統領の狙いは何なのでしょうか。
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きました。
兵頭さんは「モスクワ近郊への攻撃は、ロシア国民に戦争体験をさせて、国内の不安や、プーチン政権への批判をあおる狙いがある。ウクライナとしては、少なくとも、次のアメリカ大統領が決まるまでは、越境攻撃を続けて、和平交渉のカードを持っておきたいという思惑もある。ゼレンスキー大統領は、民間人の犠牲が大きくなれば、国際的な批判のリスクがあると覚悟のうえで、攻撃している」といいます。
ロシア側は、かつてない規模で攻撃を仕掛けましたが、戦力が回復しつつあるということなのでしょうか。
兵頭さんは「むしろ逆で、今回の大規模攻撃で、ロシア側の苦境が浮き彫りになった」と指摘。「本来ならクルスク州に精鋭部隊を投入し、ウクライナ軍を追い出したいが、ミサイルやドローンを使って、ウクライナ全土を攻撃しているのは、ロシア軍に、領土を奪還する余裕がない証拠」といいます。
兵頭さんは、もう一つのポイントに“タイミング”を挙げています。
「クルスク州を攻撃された直後に報復したかったが、結果的に3週間が経過している。ミサイルの製造や備蓄など、準備の時間が必要だったのでは。つまり、ロシアには、頻繁に大規模攻撃を行う体力も残っていない」と分析しています。
ロシア側は、余裕がないなかで、ウクライナの越境攻撃に対し、どんな手を打ってくるのかがポイントになりそうだといいます。
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