【トランプ氏腹心2人が対立】関税巡り口論“中間選挙を不安視”共和上院議員の懸念は
2025年04月13日 22:36

米政権内における政策運営を巡る不協和音が顕在化しつつある。米電気自動車大手「テスラ」のCEOで、トランプ政権で政府効率化省を率いる実業家のイーロン・マスク氏が4月5日、「最終的には、ヨーロッパとアメリカが関税ゼロの状況に移行し、ヨーロッパと北米の間に自由貿易圏ができることで合意することを望んでいる」と見解を示した。トランプ政権のピーター・ナバロ大統領上級顧問は7日、米CNBCのインタビューで、マスク氏を「テスラ社は、自動車メーカーではなく、自動車組み立て業者」と評し、「テキサス州にあるテスラの工場に行くと多くの場合、エンジン、EVでいうところのバッテリーの多くは日本や中国から来ている。電子部品は台湾製だ」と批判した。ナバロ氏の発言を受けて、マスク氏は8日、自身のSNSにおいて、トランプ政権のピーター・ナバロ大統領上級顧問を「ナバロ氏は本当にバカ。彼の発言は明らかに間違い」と反論した。
相互関税の90日間一時停止が発表された4月9日、米紙「ワシントン・ポスト」は、発表に先立ち、トランプ大統領、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官が大統領執務室で、関税政策の方針転換に関する協議を行ったと報じた。また、同紙は、この重要な協議の場に、ナバロ氏が同席していなかったことにも言及し、ナバロ氏の見解が政権内における支持の低下を示唆していると伝えた。ナバロ氏は、大統領を補佐する通商・貿易担当の上級顧問で、対中国強硬派として知られる。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で、下院委員会の証言、書類提出要請を拒否した後、議会侮辱罪で禁錮4カ月の有罪判決を受けた。連邦刑務所に服役していた。
トランプ氏の相互関税発表後、株式市場の暴落とインフレ懸念の高まりを受け、これまでトランプ氏を支持してきた共和党内部からも不安の声が上がっている。2026年11月の中間選挙で、今回の関税政策が共和党にとって、懸念材料となる可能性が強まったためとみられる。2016年の大統領選でトランプ氏の対抗馬として戦ったテキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員が、政権が推進する関税引き上げに対して警戒感を示した。相互関税の一時停止を発表する前夜、共和党上院議員グループの一人として、トランプ氏と1時間にわたる電話会談を行い、「関税に関して政権には2つの道がある。関税をテコに他国に関税を引き下げるよう説得する道を選ぶか、関税をそのまま維持し、他国に報復措置を取らせるか」と述べ、トランプ氏に各国との交渉を促した。
日本政府は4月11日、トランプ政権による一連の関税措置を受け、石破総理は米政権との交渉役に赤沢経済再生大臣を正式に指名した。赤沢氏は、「胃が1センチか、せり上がったような感じ。大変重い職責だなと体が反応している」と述べ、重大な役割への強い覚悟を示した。赤沢氏は16日に訪米し、17日にベッセント財務長官、グリア通商代表部代表と会談する予定となっている。ベッセント氏は7日のSNSで、「日本は引き続き、米国の最も緊密な同盟国の一つだ。関税、非関税障壁、通貨問題、政府補助金についての今後の建設的な協議を楽しみにしている」と投稿。また、米FOXテレビのインタビューで、ベッセント氏は、「日本は交渉に非常に早く名乗りをあげたので優先されるだろう」と語った。トランプ氏から日米交渉の担当に指名されたベッセント氏は、度重なる訪日経験を持つなど、親日家としても知られている。
★ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、柯隆(東京財団政策研究所主席研究員)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
これまでに入っているニュース
-
英王子やエプスタイン氏からの性被害を告発した女性が死亡4月26日
-
「備蓄食料が底をついた」ガザ地区支援の国連WFP イスラエルは物資搬入認めず4月26日
-
海に沈む戦闘機「紫電改」 調査で“全容”明らかに 戦後80年引き揚げへ4月26日
-
トランプ大統領 3期目に意欲? 公式ストアに「2028」新グッズ登場4月26日
-
北朝鮮で新型駆逐艦の進水式 金総書記「多目的な水上作戦が遂行可能に」4月26日
-
ウクライナ融資は“窃盗” ロシアが日本に警告「厳しい報復措置を取らざるを得ない」4月26日
-
トランプ大統領 停戦協議について「ロシアとウクライナは合意に近づいている」4月26日
-
フランシスコ教皇の葬儀 日本時間26日午後5時から4月26日
-
トランプ大統領 日米関税交渉 日本との「合意まであと一歩」4月26日
-
「プーチン大統領とウィトコフ米特使が会談 ロシア「米ロの立場縮まった」4月26日
-
米通商代表部 日本など複数の国と一律10%関税の撤廃や削減を協議4月26日
-
ウィトコフ米特使がモスクワ訪問 プーチン大統領と停戦協議4月26日
-
「アイフォーン」の生産 中国からインドに移設 早ければ来年にも実施4月26日
-
山火事の影響でコアラ約700匹を殺処分 オーストラリア4月26日
-
米ニュージャージー州の大規模山火事で19歳男を訴追4月25日
-
ウクライナ・キーウ市長「和平のために一時的な領土放棄も」4月26日
-
侵攻作戦を計画するロシア軍幹部死亡 モスクワ郊外で車が爆発4月25日
-
タイのリゾート地で警察の小型機が墜落 5人死亡4月25日
-
路上で車が大爆発 大量のガスボンベ積載か 中国4月25日
-
ガス“引火”女性の顔が炎に包まれ… 違法な水素風船横行の中国4月25日
-
約5000年前の“高貴な女性”か ペルー北西部の遺跡で発見4月25日
-
「イスラエルが占領止めるのが唯一の解決策」駐日パレスチナ大使 ガザの攻撃再開で4月26日
-
ロシア外務省 日本のウクライナ融資は「窃盗」主張4月25日
-
チンパンジーが酒を回し飲みして宴会? 世界初の映像4月25日
-
ハッブル望遠鏡が捉えた宇宙…火星の表情や彼方の星雲 打ち上げ35年4月25日
-
“人命守るロバ”に深刻な危機 ガザ停戦めぐりエジプトとカタールが新たな案を提示4月25日
-
中国 米から輸入する一部の半導体製品の関税免除か CNN4月25日
-
米韓「パッケージ合意」目指す 関税の撤廃・産業協力など4月25日
-
夜空が突然昼間のように… ブラジルで大きな火球観測4月25日
-
NATO事務総長「ロシアは長期的な脅威」 トランプ大統領とウクライナ情勢協議4月25日
-
韓国 米関税で「パッケージ合意」目指す ベッセント氏らと会談4月25日
-
米カリフォルニア州のGDPが日本を上回る 成長率は6%で「世界一」4月25日
-
「市民の足」ロバを救う ガザの獣医“命がけ”で活動4月25日
-
トランプ氏 ロシアとウクライナの停戦 早期実現促す4月25日
-
G20財務相・中央銀行総裁会議 共同声明を出さず閉幕4月25日
-
キーウで大規模攻撃12人死亡 北朝鮮製ミサイル使用か4月25日
-
ウクライナ・ゼレンスキー大統領 南アフリカを初訪問 侵攻巡り支持訴え4月25日
-
世界のサンゴ礁 84%に白化現象 「最悪の状態」と警告4月24日
-
卵の密輸急増 去年の約3倍に 高騰受け組織的な密輸も メキシコから米国へ4月24日
-
トランプ大統領 ロシアのキーウ攻撃に不満示す「不必要で非常にタイミングが悪い」4月25日
-
キーウにミサイルやドローンで大規模攻撃 8人死亡 子ども含む70人以上が負傷4月25日
-
山火事が街に…5000人避難 LA火災と類似点も4月24日
-
中国各地で大荒れ 吹き飛ぶ屋台 ひょうで天井が4月24日
-
対中関税引き下げか トランプ大統領軟化 日本に追い風?4月24日
-
「全てフェイクニュースだ」中国外務省がトランプ氏の“米中関税協議”発言を完全否定4月25日
-
米カリフォルニア州の経済規模 日本抜き世界第4位に 観光やハイテク産業が牽引4月24日
-
韓国 文元大統領を在宅起訴 娘の元夫の採用巡る収賄罪4月24日
-
「日本が常に円安を求めてきた」トランプ氏 日本と中国批判4月24日
-
NYなど12州がトランプ関税の停止求めて提訴「阻止しなければさらなる経済的損害」4月24日
-
トランプ大統領「扇動的な発言が戦争解決を困難に」ゼレンスキー氏を非難4月24日
-
米国の和平案 ウクライナが難色 外相会合開けず4月24日