「日本が起こした戦争なのに…」空襲被害者への“消えた補償”

2024年08月11日 18:46
 終戦から79年が経とうとするなか、国に謝罪や補償を求め続けている人たちがいます。空襲で障害を負った被害者の悲痛な願いです。 安野輝子さん(85) 「足痛い、足痛い…」  6歳になったばかりの夏。安野輝子さんはアメリカ軍による空襲で爆弾の破片が直撃、左足を失いました。 安野輝子さん(85) 「足がちぎれているとは気が付かなかったけれど、周囲がぬるぬると血の海だった」  太平洋戦争末期に始まった本格的な空襲。障害を負った民間人は全国に30万人いたとされますが、政府は「国との雇用関係はなかった」などとして軍人らとは区別し、一度も補償をしていません。 安野輝子さん(85) 「皆と同じように学校行けないし、皆と同じように走ることもできないし。この国が起こした戦争でしょ。攻められた戦争じゃないじゃないですか。謝罪してほしいですよ」  戦時中、空襲被害に対しては給付金を出す法律がありましたが、戦後は廃止されたままです。  50年ほど前、安野さんたちは声を上げましたが、国が応じることはありませんでした。 安野輝子さん(85) 「この国ってなんなんだろう」  今年で98歳を迎える木津正男さん。18歳の時、目の前で焼夷(しょうい)弾が炸裂(さくれつ)し、全身に大やけどを負いました。  この30年、終戦の日などに合わせて、天皇陛下や総理大臣らに宛てて戦争体験をつづり、補償を訴えてきました。  それも、もう限界。やけどを負った右手は5年前、皮膚がんになり、手術し、ペンを握るのも難しくなっています。 木津正男さん(97) 「書いても読まないんじゃしょうがないじゃない。自分の気休めになっちゃったね。やるせない気持ちだね」  受け止めてもらえないまま、79年が過ぎようとしています。

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