なぜ“初夏の被害”相次ぐ? 専門家が指摘“クマの繁殖期”

2024年07月05日 19:23
 7月に入ってもクマが人を襲う事態が相次いでいます。専門家は今の時期ならではの注意点を指摘しています。 ■わなにかかったはずのクマ 男性襲う  人々が直面しているのは、厳しい暑さだけではありません。  3日、兵庫県養父市の山中で72歳の男性がクマに襲われました。猟のわなにかかっていたクマが突如、わなから外れ、男性は頭や足をかまれました。  夏本番が始まる7月になっても、クマが人を襲う異常事態が続いています。 ■「倒された!」クマが馬乗りに  福島県の喜多方市でも…。 遠藤秀明さん(47) 「クマが出てからはやっていますね」  クマの恐怖に直面した親子がいました。   設置したカメラにはクマの姿が。この映像の前日、まさにこの場所でツキノワグマに出合い頭に襲われた75歳の女性が、その時の恐怖を語ってくれました。 クマに襲われた遠藤チカ子さん(75) 「いきなりかかってこられて、倒されてここに上がられたの」  なんとクマが馬乗りに。 クマに襲われた遠藤チカ子さん 「初めて。クマを見たのも初めて」  異例のクマとの遭遇。専門家は今の時期、ある理由でクマの行動が活発になるといいます。  喜多方市の住宅に隣接する小屋でクマに襲われた女性。 クマに襲われた遠藤チカ子さん 「あの辺にいたの。いきなり飛び掛かってここで倒された」  自宅で飼っているヤギに餌(えさ)を与えるため、小屋に保管してあったお米を取りに行った際、女性はクマに襲われたのです。 チカ子さんの息子 遠藤秀明さん(47) 「これもクマが食べたやつ。くず米」 「(Q.やぶられているのはクマ?)クマですね」  先月24日の午前7時半ごろ、小屋の入り口から米袋のほうに移動していると、奥から体長1メートルほどのクマが現れます。  すると、突然、走り出したクマに襲われ転倒。胸の上に乗ってきたクマから身を守るため、必死に手で顔を覆ったといいます。 クマに襲われた遠藤チカ子さん 「手をこうやったから手首をやられた。あと胸は打撲」  しかしその後、病院に行くと胸の骨が折れていたことが分かりました。 クマに襲われた遠藤チカ子さん 「倒されてすぐここにクマにあがられて、すぐに離して逃げたから良かった。それで助かった」  ところがこの翌日、クマが再び小屋に出没。市が設置した自動カメラに、その姿が映ります。  喜多方市は、同一個体の可能性が高いとみています。 喜多方市熱塩加納総合支所 澤井康人住民課長 「クマはある程度学習してそこに食べ物があるという認識を持つようなので、そこに行くと食べ物があるということで来たのかな」  相次ぐ人的被害。暑さの影響は。  クマの出没が相次ぐ背景に、5日のような“過酷な暑さ”は関係あるのでしょうか。 石川県立大学 大井徹特任教授 「(高温は)直接行動には影響しません。立派な毛皮をまとっているので暑さには比較的に弱いと思うが、山の中では暑さをしのげる場所がたくさんある」  では、暑さに弱いはずのクマがなぜ人里に現れるのでしょうか。 石川県立大学 大井徹特任教授 「例年よりもたくさんクマが出ているように思われるのは、長期的に変化するクマの生態がある。年々クマの生息域が山奥から市街地周辺に広がりつつある。そういう長期的変化の中で6・7月はクマの交尾期で、活発に活動するクマたちがとんでもない場所に。市街地の人目に付きやすい場所に出てきやすい時期」

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