同性カップル3組に取材して見えた「結婚式を挙げる大切な意味」
2024年09月17日 20:16
現在の日本では、同性婚が認められていません。しかし、結婚式を挙げることは、性別に限らず誰でも可能です。「すべての人が等しくお祝いできる世の中」を目指して、男性・女性間のみならず、様々なかたちの結婚式をプロデュースしている企業があります。東京都渋谷区にある、株式会社CRAZYです。今回は結婚式を挙げた3組の同性カップルに話を聞くことができました。そして、そこから見えてきた“結婚式を挙げる大切な意味”がありました。
取材 サタデーステーション 胡桃澤佑衣
■法で守られていない不安、保障されない未来を明るく照らしてくれた…
ひなさん・ゆみえさんカップル(女性)に話を聞きました。2人は大学時代のジャズサークルで出会い、活動を通じて一緒に過ごす時間を重ねるうちに交際へと発展しました。長く交際を続け、パートナーシップも宣誓したものの、“保障されていない未来”に不安があったと言います。
ゆみえさん
「毎年、秋に喧嘩しちゃう、私が爆発しちゃう、みたいなのがあったんです。パートナーシップは宣誓してるけど、法的にしっかり保障されてるわけじゃないし。『いつか嫌になったら捨てられるんじゃないか』みたいな不安がずっとあったんです。こんなに付き合って長いのに」
しかし、そんな不安をぬぐったのが結婚式のエネルギーでした。
ゆみえさん
「結婚式のエネルギーを全身で浴びたことで、ピタッとなくなって。結婚式のエネルギーってすごいなって。ものすごい勢いの強い力で、どんと押してもらえて、安心できました。“なんだ、これでいいじゃん”って」
法で保障されていない関係性だからこそ抱く不安は、確かに大きなものであり、払拭することは難しいかもしれません。しかし結婚式が、2人の未来を明るく照らす、心強い灯になったことは、きっと間違いありません。
■家族や友人、大切な人にこそ伝えたい幸せと感謝の気持ち…
結婚式は、“お祝いされる場”というイメージがありますが、主役の2人がゲストに気持ちを伝えることが叶う場でもあります。
健太さん・ヴィンチェさんカップル(男性)に話を聞きました。2人は日本で出会い、すぐに意気投合。飾らず、まっすぐ気持ちを伝え合ううちに、お互いの魅力に惹かれていったと言います。日本では同性婚ができないため、ヴィンチェさんの出身であるEU圏内で、同性婚が可能なドイツに移住し結婚。ドイツで暮らしながら、日本で式を挙げようと決めたきっかけは、健太さんにとって大切な祖母の寿美子さんの存在でした。
健太さん
「おばあちゃんとの約束で、20歳の成人式までは生きたいと言われていて。それはクリアしました。次はどんな目標を立てよう、となった時に“結婚式は見たい”と言われて。でも海外で式を挙げるとなると、(寿美子さんが)車いすなので来られない」
そこで、日本で式を挙げることを決意。しかし、ある大きな壁がありました。
健太さん
「その時、カミングアウトをしていなくて。おばあちゃんに“紹介したい人がいるんだよね”と話をしたら、“どういう女の子なの?”と返されて。“あ…どうしよう…”って。“女の人じゃなくて、男の人なんだ”と話した時に、最初はすごく抵抗されましたね。“すごく嫌だ、納得できない”みたいな感じで」
そんな猛反対していた寿美子さんの考えを大きく変えたのは、家族のある一言でした。
健太さん
「お姉ちゃんが“(健太さんの)幸せを一番願わなきゃいけない存在じゃないの?”とおばあちゃんを説得して。その後おばあちゃんがしばらく沈黙して、僕が“会ってくれる?”と言ったら“会う”と言ってくれて。2週間後に初めて(ヴィンチェさんと)会ったら、すごく気に入っちゃって」
大切な存在だからこそ、誰よりも伝えたかった健太さんの、愛する人との幸せな姿。それを見て、安心してもらうことに大きな意味がありました。
健太さん
「袴を着ていたので、“すごくきれい”と喜んでくれて。おばあちゃんが生きているうちに、自分が本当に心から好きだと思える人との結婚式を共有できたことが、何よりもうれしかったなって」
そして、大切な友人にも感謝の気持ちを伝えることができたと言います。
健太さん
「“祝われる”というよりも、僕たちが結婚式を挙げるまでに出会って応援して、サポートしてくれた人たちに感謝を言える場にしたかったんです。嬉しい感想があって、1人、僕の日本人のゲイの友達がいるんですけど、来てくれて。その友達からは“結婚式を挙げる姿を見て、人生設計に“結婚”という選択肢もあることを実感できてパワーをもらえた”と言ってもらえて」
お祝いの気持ち、感謝の気持ちを互いに伝えあう場。主役の2人にとっても、ゲストにとっても、一生に一度の特別で、大切な時間です。
■型にはまらない家族のかたち、“私たちらしさ”を認めてくれる場…
さきさん・みのりさんカップル(女性)にも話を聞きました。2人は大学時代に出会い、交際に発展。しかし、それまでに異性と交際していた2人は、恋愛、パートナーのあり方について悩んだと言います。
さきさん
「男性としか付き合ったことがないので、私はこの人を受け入れられていないんじゃないか、みたいな葛藤がすごくあって」
みのりさん
「家族としては大事に思っているけれど、今までの男性との恋愛と同じような気持ちにはなれない、そういう難しさは2人の中でありましたね。いわゆる恋愛をするためには、どちらかが男性にならないといけないと思って。男の子っぽくなったら、この人を女性として愛せるんじゃないかと思って」
さきさん
「いろんなことを調べてやってみたけど、やった結果、私たちの愛とか好きとか、家族のかたちってこれじゃないんだな、と。型にはめなくてもいいんだね、というのを確認できました」
2人の導きだした、家族のかたちとは何だったのでしょうか。
みのりさん
「血のつながりとか、体のつながりとか、社会的にこうでなきゃいけないというものを越えて、ただシンプルに一緒にいたい人と生きる。家族として一緒に生きる。ということが私たちの家族であり、愛だなと。自分たちが心地いいあり方で一緒に生きていこう、ということにたどり着きました。」
そんな2人にとっての家族のかたちを、認めて背中を押してくれたのが結婚式でした。
さきさん
「お祝いって、すごいなと思って。みんなが拍手して、おめでとう、と言ってくれるあの瞬間って、性別とか関係ないんです。全ての過去も、この先2人で生きていく未来も、今この瞬間も、全部肯定される。次の日から隠したりとか、私たちこういう関係だから、と自信をなくしたりするのではなくて、胸を張って生きられるように結婚式を通してなりました」
みのりさん
「他の誰かに祝ってもらうということで、この生き方を選んでいいんだと自信を持つことができました。式を挙げて、私たちちゃんと幸せなんだなと思えて、そこに感謝が芽生えた時に、周りに対して“生かしてくれてありがとう”“2人で過ごせる社会にしてくれてありがとう”“周りの人に、機会に恵まれた環境にありがとう”という気持ちになりました」
お祝いされることには、2人の信じる幸せを肯定してくれる。そんな強いパワーがあるのかもしれません。
■<取材後記>すべての人が等しく、境界線のない世界で生きられる世界を目指して…
結婚をする、しない。結婚式を挙げる、挙げない。どの選択を行ったとしても、それは個人の自由です。しかし、愛する人の性別によっては“結婚したい”と思ったときに、その選択肢すら与えられていない現状があります。好きな食べ物、好きな色、好きな映画のジャンル、などと同じように、好きな性別も多様であっていい、それが特別ではなく当たり前の世界であればもっといいのに。そう思っていた時に、CRAZYが理想としていた「すべての人が等しくお祝いできる世の中」という言葉に強く惹かれました。CRAZYのスタッフの方々、インタビューをさせていただいた皆様とその周りの方々のあたたかさに触れて、境界線のない世界の実現に向けて、このあたたかさをより多くの人に広めていきたいと感じました。
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