“巨大地震注意”どう行動すべきか 気象庁の検討会委員の横田崇教授「過度に心配せず、落ち着いて備えを」

2024年8月9日 13:46
気象庁が8日、南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」を発表しました。気象庁の地震評価検討会委員を務める横田崇・愛知工業大教授に、わたしたちはどう受け止め、何をすべきなのかを聞きました。

気象庁の地震評価検討会委員を務める横田崇・愛知工業大教授

 南海トラフ地震の予知はできない。突発する地震に備えることが南海トラフの地震対策の基本になります。

 とはいうものの、南海トラフ地震が起きればあまりにも被害が大きいので、念のため警戒する状況を作っておく。それが臨時情報の目的ということになります。

 そういう意味で、臨時情報が出たら「日頃の備えを再確認してください」ということが基本的な行動になります。

 地震が発生すると、その次に大きな地震が発生する可能性は、地震の直後ほど高いんです。臨時情報が出されたから大変だというのではなく、地震がいつ起きても大丈夫だというような備えをしておくということが大切だと思います。

 これを契機に、避難路をちゃんと見て変わっていないか確認しておこうとか、家具を固定しているけれどしっかり止まってるかというチェックをすることが非常に大切です。ゆっくり落ち着いて対処してもらいたい。

 地震で家が倒れて下敷きになって亡くなったり、家具が倒れてけがをして避難に支障が出たりするような状況にならないようにすることが基本です。

 そうしておけば、地震の時に揺れが収まってから落ち着いて行動できます。8日のような臨時情報が出ると、揺れがあった地域では揺れに対する対応、揺れがなかった地域でも日常の備えができるか再確認することが大切です。

 「すぐ地震が起こる」と思うのではなく、「いつ起こるか分からないから備えておく」という心構えで、しっかり落ち着いて点検してもらうことが大切なんです。
 
「期間が過ぎても安心ではない」
 巨大地震注意の期間、2つ注意してほしいことがあります。1つは今回の日向灘の地震で被害が発生した地域は、同じような地震が引き続き発生する可能性がある。1週間程度は震度6弱以上の地震が起こる可能性があるので注意してください。

 もう1つは、この地震が起きたことによって南海トラフのどこが震源か分からないけれど、マグニチュード8を超える巨大地震が起こる可能性がある。事例的には100分の1程度ですが、念のためいつ地震が起きても避難できるように、日頃からの備えの再確認をしましょう。被害が起きていない地域のみなさんも点検してください。

 臨時情報は1週間というおおむねの期間を設けていますが、地震の予知はできず、1週間後に起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。1週間を超えてから起こるかもしれない。チェックして足りないところを準備し、次への備えをするキャンペーン週間だと認識してもらうことが大事です。

 巨大地震注意の期間が過ぎても、大雨警報などのように「もう雨が降らなくなりました」という状況ではありません。「南海トラフ地震は起こらなくなったので安心です」ということは言えないので、そういう意味でいわゆる「解除」というものはありません。
 
遊びに行く先のチェックを
 遊びに行くとき、地震が起きても大丈夫か、準備をしているかを再確認して遊びに行ってもらいたい。普段から必要な安全確認をしてもらい、持ち物や連絡体制を確認して遊びにいくことが大事になると思います。

 遊びに行く先のハザードマップがどうなっているか、揺れやすい・津波が来る場所ではないか、もし地震が起きたら避難する場所はどこかを念のためにチェックして行くと、いざというとき落ち着いて行動できます。

 南海トラフ地震に過度な心配をするのではなく、落ち着いて準備をしていきましょう。 臨時情報に「もう危ない」と思うのではなく、いつ来るかわからない、そのために普段から備えをしているのだから、落ち着いて行動する。遊びに行く計画があれば、行き先がどういう場所なのかを確認し、普段通りの生活をすることが大事だと思います。
 

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