専門家は「一部割れ」指摘 初の“巨大地震注意”情報、津波想定地域では高齢者が移動も

2024年8月9日 17:14
8日に宮崎県沖で発生した地震を受けて気象庁が発表した南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)。いま改めて「備え」が求められています。

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会委員の横田崇・愛工大教授

 気象庁は今回、南海トラフ沿いの想定震源域で新たな大地震の発生が相対的に高まったとする「巨大地震注意」を発表しました。

 南海トラフ地震臨時情報が発表されたのは、2019年に運用が始まってから初めてのことです。

 その後、出された「巨大地震注意」情報。一体、何が起きたのでしょうか。

 評価検討会の委員を務める、愛知工業大学の横田崇教授に話を聞きました。

「今回のケースは"一部割れ"というケースです。マグニチュード7クラスの地震が起きて、そのあとマグニチュード8クラスの地震が起きるかもしれない。これをどういうふうに表現するかというときに、震源域の中の一部が壊れたけれども、その後、大きな地震につながる可能性があるので、“一部割れ”という表現をしようと」(横田教授)
 

南海トラフ地震の震源域

日ごろの備えの再確認を
 今回の地震について、気象庁は南海トラフ地震の想定震源域で起こった「一部割れ」と判断。

 横田教授は、東海地方は今回の震源地から離れているものの、南海トラフ全域で巨大地震が起こる可能性があるとして「日ごろの備えの再確認」の重要性を強調します。

「臨時情報が出たから”こりゃ大変”ということではなく、臨時情報を契機にちゃんと確認をしておこうと、避難路をちゃんと見ていたかなとか、家具がしっかりと固定しているかなと、ゆっくり落ち着いて対処してもらいたい」(横田教授)

 街で話を聞くと、「南海トラフ地震が起こるかもしれない」「地震が他人事じゃないというのを改めて実感した」など日頃の備えの意識が高まっているようでした。
 

標高の高い施設に移動する高齢者(三重県尾鷲市)

津波が想定される地域で”備え”の動き
 南海トラフ地震の発生時、最大で17メートルの津波が想定されている三重県尾鷲市では――。

「食料の備蓄、家具の固定など、地震への備えを再度確認してください」

 防災無線で、呼びかけが行われていました。

 高齢者が過ごしている施設では、すでに”備え”の動きが――

 津波の浸水域にあるという、高齢者入所施設。標高の比較的低いところにある施設の入所者は、あらかじめ、標高の比較的高い別の施設に移動することにしたといいます。

「頭に浮かんだのが、入所されている利用者さんの安全をどのように保つか。災害が起きてからは遅いので、少しでもリスクがあったら、『まだ大丈夫』というのではなくて、1秒でも早く安全な場所に移動させる」(施設を運営する法人の職員 東加絵さん)
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中