“地震無風地帯”に住む人が「巨大地震注意」 発表中の今やるべき備えは? 南海トラフ地震の臨時情報

2024年8月12日 05:01
南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」が発表されて初めての週末を迎えました。多くの人が「地震対策をどうしようか」と考えたと思います。メ~テレの災害担当デスクが「いま必要な対策は何か」解説します。

地震の揺れを体験する子どもたち(名古屋市港防災センター 10日)

市民に防災意識の高まり 南海トラフ地震の臨時情報・巨大地震注意は「不確かな警告」
 この週末、JR名古屋駅で取材をすると、帰省先や旅行先へ移動する人の中に、水を多く持っている人がいました。

 中には、普段は持ち歩いていない携帯トイレを持ってきたという人も。10日(土)、名古屋市港区にある防災センターには、家族連れなど473人が訪れ、地震の揺れの体験装置に乗るなどしたといいます。

 前の週の土曜日に比べると入館者は2倍になったそうです。臨時情報「巨大地震注意」が発表されて、防災の意識が高まっています。

 今回発表された臨時情報「巨大地震注意」は、最も危機感が高い臨時情報「巨大地震警戒」よりもひとつランクが低い情報です。

 「巨大地震注意」の発表中は、震源域内で普段よりも巨大地震が起きる確率が「数倍高くなっている」状況です。しかし「数倍高くなっている」状況にあるものの、実際に起きる確率は「数百回に1回」とされています。

 絶対に起きないというわけではないけれど、起きる確率の方がずっと低い「不確かな警告」なのです。

 

閉鎖された古里海水浴場(三重・紀北町 10日)

三重では海水浴場が閉鎖 防災用品・日用品の「買い占め」も
 三重県紀北町を取材すると、町内にある5つの海水浴場のうち4つが8月15日(木)まで閉鎖になっていました。

 毎年この時期、家族連れでにぎわうビーチは閑散としていました。10日(土)に開催予定だった「きほく夏祭り」も中止。花火の打ち上げもなくなりました。

 地元の「道の駅」の人は「帰省のお客さんがどのくらい減るのか、これからが心配です」と表情を曇らせます。

 臨時情報「巨大地震注意」を受けて、防災用品や日用品を買い求める人が多くいます。ホームセンターでは防災用品が、コンビニやドラッグストアでは、水や食料、トイレットペーパーなどが品薄になっている所があります。

 大地震に備えて、必要なものを準備することは大切なことです。

 一方で、私は、このような「買い占め」ともいえるような現象が各地で「連鎖」を起こしてしまわないか、と心配しています。

 準備することは大事だけれども、「不確かな警告」に必要以上に過敏にならない方がよいと思っています。




 

臨時情報「巨大地震注意」

「巨大地震注意」いま本当に必要な備えとは キーワードは「長期的な視野」
 そんな状況の中で、何を備えたらいいのか?私は、食料や水、トイレットペーパーなどを買うことについて否定はしませんが、もう少し長期的な視野に立って、防災に取り組むいいチャンスにしてほしいと考えます。

 たとえば、家族で携帯トイレの使い方を学び、具体的に必要な凝固剤の数を調べてみるのはどうでしょうか。

 自宅に防災食を備えている人は、実際に食べてみて家族の口に合うかどうか確認してはどうでしょうか。口に合わなかったら、他の防災食にトライすることをお勧めします。

 自宅では家具の固定を再確認し、巨大地震で物が倒れてきても安全な場所はどこか、チェックするのはどうでしょうか。
 
「巨大地震注意」1週間後をめどに国・気象庁がメッセージ 意義が問われるのはこれから 
 南海トラフ地震で大きな被害が想定されている愛知、岐阜、三重の東海3県は、近年、大きな地震に襲われていません。

 全国的にも珍しい「地震無風地帯」と言えます。普段、防災について考える機会が少ない「地震無風地帯」に住んでいる人こそ、今回の臨時情報「巨大地震注意」を「我が事」として考えてほしいと思います。

 南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」は、「大雨警報」のように「解除されました」という情報は出されません。

 内閣府と気象庁は、巨大地震の発生が今後なければ、臨時情報を発表した8月8日(木)から1週間後をめどに「大地震に注意すべき1週間の期間が過ぎた」ことを発表する予定です。今後の備えについてメッセージも伝えるのでは、といわれています。

 「解除」はしないけれど、いつまでも「不確かな警告」を呼びかけ続けるわけにはいかない、ということです。

 それに伴って、市民の防災への意識がどう変わっていくのか、臨時情報の意義が問われるのは、これからだと感じています。

(メ~テレ 災害担当デスク 柴田正登志)
 

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