「夏休みの宿題」が変わる?名古屋市民におなじみの“夏の生活”を取りやめる学校も 教育評論家は歓迎

2024年7月19日 16:52
待ちに待った、夏休み。遊びすぎると、後回しになりがちな「学校の宿題」ですが、近年、“ある変化”が見られるようです。
 19日の午前、東海3県の多くの公立小中学校で、1学期の終業式が行われました。

 20日から、楽しい楽しい”夏休み”!

 三重県津市の養正小学校の子どもたちも、夏休みに期待を膨らませていました。

 「あしたからは休みで、ゲームとかしまくります」(2年生)

 「夏休みに、おばあちゃんの家に行くことが楽しみです」(2年生)
 

夏休みの宿題に変化が…

楽しい思い出づくりの一方で…
 楽しい思い出づくりの一方、”夏休みの宿題”に取り組まなければいけません。

 「宿題は大変…読書感想文は、まだ決まっていない」(2年生)

 「考えることが難しいので、宿題は教えてもらったりする」(2年生)

 その「夏休みの宿題」、内容が変化しているといいます。
 

毎年恒例だった夏休みの宿題を、今年は取りやめに

「夏休みの宿題」を取りやめる学校も
 名古屋市北区にある、如意小学校。

 毎年恒例だった夏休みの宿題「夏の生活」を、今年は取りやめるといいます。

 「夏の生活」は、各教科の課題や読書感想文、音楽や体育まで幅広い内容が1冊にまとまった、名古屋市民にはおなじみの夏休みの宿題です。

 去年の夏休みは、名古屋市内すべての公立小学校で使われていましたが、今年は使わない学校があります。

 「『夏の生活』を一律に使うのではなく、子どもたちが自分で勉強したいことを選んだり考えたりして決めていくことを進める中で、『夏の生活』については、今年度使用しないことが決まった」(如意小学校 大西健一校長)
 

子どもたちが自主的に学ぶため、学習計画プリントを作成

今年から、子どもたちが自分で学習計画を立てる
 子どもたちが自主的に学ぶため、今年から夏休みの学習計画を立てるプリントを作りました。

 「自分がわかったことや苦手だったことを振り返りながら、夏休みしかできない勉強もあると思うので、その中からやりたいことを選ぶ。学年ごとに内容や表現は違うが、学習計画を立てるプリントを独自で作成した。授業の中で子どもたちに説明したり、計画を立てることを考えていった」(大西校長)

 学習で使っているタブレットで勉強を続けながら、子どもたちが考えた計画に沿って学習を進めます。
 

小学5年生

子どもたちの反応は…
 子どもたちは――

 「自分で考えないといけないし、毎日やらないといけないから『夏の生活』のままが良かった。自分で計画すると、うまくできているか分からないからいやだ」(5年生)

 Q.「夏の生活」がなくなるのはどう
 「うれしい。自分でやること決めて、やるほうが好きだから」(5年生)

 「普段の授業とは違った形で、自由に活動できる時間も増える。自分のやりたいことをやるのも大事なので、必要なことを勉強できる夏休みにしてほしい」(大西校長)
 

小学生の夏休みの宿題に関する調査

宿題の量が減り、不安を感じる保護者も
 “夏休みの宿題”について、保護者に聞いてみました。

 「例年より若干少ない」(保護者)

 「たくさんじゃない。自由研究がない学校で、のびのび遊んでくださいみたいな」(保護者)

 「ベネッセコーポレーション」が行った、小学生の夏休みの宿題に関する調査では、回答した保護者の半数以上が、「自身の小学生時代と比べて、夏休みの宿題の量は少ない」と感じています。
 

教育評論家 親野智可等さん

教育評論家は変化を歓迎
 「ある程度あった方がいい。午前中ぐらいは勉強てほしい。親が用意することになるので」(保護者)

 机に向かうきっかけとなる宿題が減ることについて、不安を感じると話す保護者がいる一方で――

 元・小学校の教師で、教育評論家の親野智可等さんは、この変化を歓迎しています。

 「元々、夏休みは休み。『夏休みに勉強させなきゃ』は昭和・平成の思い込みに過ぎない。学期中も色々追いまくられ、夏休みになっても宿題で追いまくられる。これで本当にいいのかという反省点がある。先生は、夏休みの宿題を準備する、これだけでもけっこう時間がかかる。子どもにも先生にも、負担が大きいということで減っている」(教育評論家 親野智可等さん)
 

夏休みの宿題で親子関係が悪化する可能性も

夏休みの過ごし方について
 また、“夏休みの宿題”がきっかけで、親子関係が悪化したり、子どもが自己肯定感を持てなくなったりする可能性があると指摘します。

 「夏休みの宿題は、児童生徒に一律で出される。同じ学年の児童生徒といえども、個人差は大きい。やる気など。一律で出された宿題によって、ものすごく苦しんでしまう。親は『何でやらないの?』と叱る回数が増えて、親と子ども共に、ストレスマックス」(親野さん)

 親野さんは、夏休みの過ごし方について、このように考えています。

 「夏休みにやってほしいことは、いつも言っているのは“体験”。夏休みこそ、子どもが好きなことを、とことんやらせて応援してあげてほしい。例えば、魚が好きならとにかく魚など。漁港に行って本物のマグロの水揚げを見るなど、子どもの時に色んなことを経験すると、芸術的な想像力や学問的探究心の原動力、エネルギーを培うことができる」(親野さん)
 

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