9月は世界小児がん啓発月間~脳腫瘍の後遺症と闘う中学生が起業 小児がんの子どもにギフトを~

2024年9月30日 19:34
三重県の中学生の男の子が脳腫瘍の後遺症と闘っています。掲げた目標は「病気を理由に逃げない」。男の子は、世界小児がん啓発月間の9月、小児がんと闘う子どもたちやその家族にギフトを届ける事業に初挑戦しています。

腫瘍の摘出手術後の湊くん(2022年10月)

小6で脳腫瘍を患った男の子 クラスメートの応援で病を乗り越える
 三重県菰野町の中学2年、橋本湊くん。2022年、小学6年のとき脳腫瘍の中でもまれな「混合性胚細胞腫瘍」と診断されました。

 「常に吐き気が来て、それに伴って痛みが来ていました。だいぶしんどかった。楽ではなかったですね」(橋本湊くん)

 地元の小学校を離れ、院内学級へ。小学校最後の年、大半を病院で過ごしましたが、小学校の仲間たちは手紙などで湊くんを励まし続けました。

 湊くんは、腫瘍の摘出手術や抗がん剤による化学療法などの治療を乗り越え、2023年の3月に退院。念願だった、地元の小学校の卒業式にも参加。卒業証書を両手でしっかり受けとることができました。

 教室に戻った湊くん。目には涙が…

 「この日を目標に頑張ってきたので、登校できたうれしさと、みんなに会えたことと、いろんな思いで、いっぱいになって涙が出ちゃいましたね。将来病気で苦しんでいる人を助けられるお医者さんになりたい」(橋本湊くん)

 

橋本湊くんが掲げた目標

後遺症に悩まされる日々 それでも…「病気を理由に逃げない」
 2023年4月、湊くんは中学1年生に。がん治療を乗り越えた先にあったのは、後遺症でした。

 積極的に授業に参加しますが、疲労感があるほか、汗がかけない、視野狭窄で見える範囲が他の人よりとても狭くなるなどの症状が出ていました。

 「やっぱり勉強、数学とかで計算の仕方を教えてもらっても次の日復習のとき忘れているみたいなことはよくあるので、やっぱり覚えるのが大変ですね」(橋本湊くん)

 湊くんが中学校に入って掲げた目標は、「病気を理由に逃げない」。教室に掲示された目標がいつも教室で見守っています。

 「やっぱり病気やから、何かをしないとか何かができないじゃなくて病気でもそれでもできる。だけど、できるっていうのにしたいなって思って『病気でも逃げない』っていう目標にしました」(橋本湊くん)
 

ほっとTVギフトの仕組み

中2で初挑戦 小児がんの子どもたちにギフトを届ける仕組みづくり
 そして、世界小児がん啓発月間でもある、今年9月。

 中学2年の湊くんは、新たな挑戦を始めました。それは、小児がんの子どもたちにとって希望となる取り組みです。

 湊くんは「minnato(みなと)」を起業、毎月、企業と一緒に小児がんの子どもたちにプレゼントをする事業「ほっとTVギフト」を始めました。

 懸命に病気と闘う子どもたちの心理的負担を減らすことや、家族の経済的負担を軽くすることを目的としています。

 「ほっとTVギフト」は、協賛企業が3000円以上の自社製品を小児がんの子どもたちに届けるというものです。商品代は、企業と協賛会員(支援者)らでまかないます。
 

ほっとTVギフトの仕組みについて話す湊くん(三重県津市・9月)

「僕にもできることがあるんだ」毎月2000組の小児がんの子どもたちを笑顔に
 9月、協賛企業となった洋食店からはハンバーグが、文具メーカーからは木製ボールペンなどの文房具が、小児がん患者2組にそれぞれ送られました。

 企業は、この地方に限らないということです。早速、小児がんと闘う中学生の男の子からは、お礼の手紙が届きました。

 「僕でもできることがあるんだ…役に立てているのかなとうれしくなりました」(橋本湊)

 湊くんは、2025年の3月31日まで、プレゼントを選ぶことや小児がん患者とオンラインでコミュニケーションを取るなどしていきます。

 新たな目標は、毎月2000組の小児がんと闘う子どもやその家族にギフトを送ることです。

 「2000組の親子にプレゼントが届くようにがんばります。小児がんの治療は大変だと思うけど、がんばってください」(橋本湊くん)

 「ほっとTVギフト」では、ギフトを送ってほしい小児がんの子どもたちやその家族、協賛会員(支援者)、企業を募集していて、希望者は「hot.tv.gift@gmail.com」に連絡してほしいとしています。

(メ~テレ記者 小澄珠里)
 

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