夜空に巨大提灯、「俺たちの祭りという誇り」 時代絵巻が浮かび上がる幻想的な世界 愛知県西尾市 

2023年9月5日 16:59

愛知県西尾市で行われた「三河一色大提灯まつり」。巨大な提灯が夜空に揺らめく瞬間、まつりを引き継いできた人たちの想いにカメラが密着しました。

 「よいしょ、よいしょ!」と地元の祭りを盛り上げようと集まった子どもたちが引っ張り上げているのは、まつりの「主役」ともいえる巨大な提灯です。

 8月26日と27日、西尾市一色町の諏訪神社で「三河一色大提灯まつり」が行われました。

 

三河一色大提灯まつり

450年以上の歴史、愛知県の有形民俗文化財にも指定

 このお祭りは、450年以上の歴史を誇り、愛知県の有形民俗文化財に指定されています。

 「一色の人の魂のようなものですね。大勢の若い子たちも老若男女、皆待ち望んでいます」(間浜組の氏子)
 「遺伝子に入ってるということではないですけど、やっぱり日にちが来るとウズウズしてやっていますね」(諏訪組の氏子)

 間浜組や諏訪組など6組の氏子が、それぞれ2張りの提灯を境内に設置。

 あわせて12張りの巨大な提灯がお祭りに登場します。

 

長さ10m・直径5.6mの提灯

1番大きい提灯は長さ10m・直径5.6m

 提灯は1番大きいもので、長さ10m・直径5.6mもあります。

 徐々に大きくなってきたそうです。

 「氏子が6組ありまして、提灯を作り始めたときに競っちゃったんですね、大きさを。聞いた話だ、と間浜組が1番最後に大きくして、江戸時代に西尾藩の殿様に呼ばれて、『これ以上大きなものを作るな』と牢屋に入れられたそうです」(間浜組の氏子)

 それぞれに歴史や神話が色鮮やかに描かれています。

 

まつりの起源

「提灯があるから俺たちの祭りだという誇りを持っている」

 言い伝えでは、その昔、この地方では、夏から秋にかけ、海に住む魔物・海魔が現れ、田畑を荒らし、人々に被害をもたらしていました。

 海の魔物を追い払うため、諏訪神社に剣を奉納し、かがり火をたいたのがまつりの起源とされています。

 「西尾の人にとって祭りはすごく重要だと思いますね。提灯があるから、俺たちの祭りだという誇りを持っていると思います」(上組の氏子)

 

夜空に浮かび上がる時代絵巻

まつりのクライマックス、時代絵巻が夜空に浮かぶ幻想的な世界を後世へ

 辺りか暗くなり始めた午後7時。

 まつりのクライマックス、提灯への「火入れ」が行われます。

 高さ1.1m・重さ93kgもある大ろうそくに火を移し、大提灯の中につるします。

 火が灯ると提灯に描かれた時代絵巻が、夜空に浮かび上がり、幻想的な世界が広がります。

 「火を移すことというのは、神聖な行事だと思っているので非常に緊張しました」(上組の氏子)
 「1年間我慢してきた甲斐がありましたよ。笑顔しかない」(上組の氏子)

 

大きな提灯の文化は後世へ

 神社によると、2日間で訪れたのは約5万人。

 コロナ前の半分ほどの人数でしたが、観客からは「想像より大きくてびっくり」「大提灯がすごい」といったよろこびの声が。

 大きな提灯の文化は後世に引き継がれ、これからも火を灯しつづけます。

(9月5日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

 

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