【能登地震1年】“100年に一度の雨”重なり…被害拡大 検証“地震と豪雨”の脅威
2025年01月01日 20:47
震災からおよそ9カ月後のことでした。鈴屋川が氾濫したことで、町ごと濁流にのみ込まれ、3人が犠牲となった石川県輪島市町野町。カメラが捉えたのは、複合災害のメカニズムの一端。地震と豪雨、能登地方を襲った複合災害。なぜ、被害はここまで拡大したのでしょうか。あの日何が起きていたのか、検証します。
先月、土砂災害を専門に研究する防災科学技術研究所の酒井直樹上席研究員と現場に向かいました。その爪痕はいまだ、深く残っていました。
大量の木や土砂が鈴屋川に架かる五里分新橋に引っ掛かり、川の流れをせき止めたことが氾濫する要因の一つとなったといいます。
そして、上流へ向かうと、豪雨が襲った9月21日に何が起きていたのか、徐々に明らかになってきます。
防災科学技術研究所 酒井直樹上席研究員
「9月の大雨で崩れています。この奥に土砂の供給源があって、土砂の量が増大する原因になっている」
鈴屋川上流の本流と支流が合流する地点では、山肌が大きく崩れていました。さらに、酒井研究員が指摘するように、支流の上流部分で起きていることを見ていくため、ドローンを飛ばします。
地上からでは見えない部分が見えてきました。ほぼ手付かずの状態です。
酒井直樹上席研究員
「谷をふさぐような形になっています。両側から土砂が出てきて谷を閉塞して後ろに水がたまりやすい状況」
山から崩れ落ちた土砂や木々は、一時は谷を流れる川の流れをせき止めてその場に堆積(たいせき)しますが、雨が降ることによって下流へと流されていくといいます。さらに上流へ進むと…。
酒井直樹上席研究員
「(Q.ここの部分は地震で崩れた所?)これは地震です。右側の方が雨っぽい。地震の時に崩れたようには見えない」
地震で崩れた場所と、豪雨によって崩れた場所が混在していました。
酒井直樹上席研究員
「地震によって大きく揺さぶられた後、100年に一度のような豪雨が来ると、こういう事が起きてしまう」
1月の地震発生後に撮影された画像を基にした地図です。黄色い部分が、土砂などの堆積や斜面の崩壊などを示しています。
鈴屋川の下流周辺では、土砂の堆積はほとんど見られませんでした。しかし、この時点で上流では異変が起きていました。大量の土砂が堆積している様子が分かります。この土砂が9月の豪雨で木々とともに大量に下流へと流れ出し、鈴屋川の氾濫につながったとみられます。町野町全域を見ても、山間部に土砂が堆積していた様子が分かります。
さらに、9月の豪雨の後に堆積した土砂を赤色で上から重ねます。地震で崩れた地点と豪雨で崩れた地点は隣接している箇所が複数あり、地震の被害と豪雨の被害は密接に関係している可能性が高いことを示しています。
酒井直樹上席研究員
「(地震の影響で)土砂として潜在的に流れやすいものがある。この後、豪雨が襲うと流れやすいもの、弱い所がどんどん流されてしまう」
では、大雨が降った時、鈴屋川の上流に堆積していた土砂はどのようにして流され、被害をもたらしたのでしょうか。水害のリスクを専門に分析する研究機関の協力を得て、私たちは上流と下流、2つの地点を想定した検証実験を試みました。
酒井直樹上席研究員
「山の中腹を見立て、7°の傾斜をつけた模型を作ってあります」
地震により発生した斜面崩壊により、土砂が堆積し、川の流れがせき止められた状態の谷を再現しました。1月の鈴屋川上流の状態にあたります。赤と黄色の棒状のものは、流木を再現しています。
豪雨を想定した大量の水を流すと…。水量が土の高さを上回ると、一瞬にして崩れ、下へと流されていきました。鈴屋川の支流でも、堆積した土砂や木々は豪雨によって下流へ運ばれた痕跡がありました。
酒井直樹上席研究員
「(水が)乗り越えだしたら一気に土砂を巻き込んで、短時間で流れた。強い雨が降り、水が一気に来た時、あっという間に土砂を流してしまう」
続いて、この土砂が流されたことを想定した下流での実験。鈴屋川は、およそ40分の1のスケールで再現しました。氾濫する要因の一つとみられている五里分新橋などの模型も設置しました。先ほどの実験同様、豪雨を想定し、大量の水と流木に見立てた棒を流していきます。
豪雨災害が発生した日に撮影された映像にも、流木が橋に引っ掛かる様子が記録されていました。直後に鈴屋川は氾濫し、町は濁流にのみ込まれました。
酒井直樹上席研究員
「地震が起きた後、100年に一度の豪雨が起きたということは聞いたことがない。指摘はずっとされてきました。地震が起きた後、雨が降ったら危ない、融雪時期が危ない。今回、100年に一度の雨が重なって、どんなことが起きるか分かってきた。雪解けの水で斜面が崩壊したりする。水が一気にたまって流れてくる」
9月の豪雨災害で、懸念していたことが現実のものとなってしまいました。能登半島の山間部では今も至る所に不安定な土砂が堆積していて、1500カ所以上で地盤に変化が起きているとみられます。なかにはいつ崩れ出してもおかしくない場所もあるといいます。
酒井直樹上席研究員
「次の雨、次の地震、次の雪、次に何が起きるか具体的にイメージしながら情報をどう伝えるかが課題」
日本は全国で地震が頻繁に発生し、近年では豪雨も増えています。いつどこで起きるか分からない複合災害に、私たちはどう備えればいいのでしょうか。
これまでに入っているニュース
-
車2台とバイク絡む事故 バイク運転の女子大学生死亡1月6日
-
岩手で今季2例目の鳥インフル 5万羽の殺処分が開始1月6日
-
所沢強盗事件のリクルーター役の男 国分寺強盗事件にも関与で再逮捕へ 警視庁1月5日
-
犬の散歩中に足踏み外し川に転落 小学1年生の女児が死亡 山梨・甲斐市の釜無川1月5日
-
【関東の天気】あす昼ごろから雨エリア拡大 久しぶりの本降り1月5日
-
箱根・芦ノ湖で「湖水開き」 一年の安全を願い大学生が決死の水上スキー祈願1月5日
-
山梨県で100年以上続く珍しい出初式 寒風の中放水を浴びる地元消防団の思いとは1月5日
-
マグロの初競り 大間産276kg …最高値2億700万円 ウニは史上最高額1月5日
-
愛媛・松山市で住宅全焼 1人死亡 住人の66歳男性と連絡取れず1月5日
-
商売繁盛・安全祈願…新年をことほぐ “最大9連休”年末年始の最終日1月5日
-
京都・華道の家元「池坊」 新春の花を使い新年祝う「初生け式」1月5日
-
海外で過ごした人の帰国ピーク 年末年始 最大9連休の最終日1月5日
-
豊洲市場でマグロの初競り 最高値は大間産2億700万円1月5日
-
一番マグロ 大間の漁師「夢みたい」 2年ぶり8度目1月5日
-
「生ウニ」約400グラムで700万円 豊洲市場の初競りで史上最高値1月5日
-
未明に住宅火災 2人の遺体見つかる この家の80代夫婦か 群馬・高崎市1月5日
-
【速報】東京都心で0℃を下回る 今シーズン初の冬日 気象庁1月5日
-
青森県 豪雪対策本部を設置 記録的大雪で12年ぶり1月5日
-
【速報】東京・豊洲市場のマグロ初競り 最高値は青森・大間産で2億700万円1月5日
-
住宅5軒焼ける火事 焼け跡から1人の遺体 火元の住人男性逃げ遅れたか 埼玉・三芳町1月5日
-
川に飛び込む若者に喝采 「ホーランエンヤ」1月5日
-
Uターンラッシュがピーク 新幹線で乗車率200%も1月5日
-
埼玉・千葉で火事 2人死亡 住人の男性と連絡取れず1月5日
-
パンダと“二十歳の集い” 和歌山アドベンチャーワールド1月4日
-
Uターンラッシュ 高速道路は各地で渋滞1月4日
-
【速報】「家族が2人中にいる」住宅3軒焼ける火事 警察が確認急ぐ 埼玉・三芳町1月4日
-
【速報】店舗兼住宅で火事 焼け跡から性別不明の遺体 住人の男性か 千葉・船橋市1月5日
-
ごみ処理施設の火事 15時間半後にほぼ消し止め 年末のごみから出火か 埼玉・川口市1月4日
-
能登半島地震・豪雨災害から復活めざす “爪痕と生きる”食堂店主の1年1月4日
-
【関東の天気】仕事はじめ 全国で傘必須! 昼過ぎ 雨エリア拡大1月4日
-
全国的に真冬の寒さ 日本海側で大雪“平年の3倍”も 年始のイベントににぎわい1月4日
-
そば店に車突っ込む 女性客けが 駐車しようとし突っ込んだか 静岡・伊豆市1月4日
-
Uターンラッシュ 高速道路は各地で渋滞1月4日
-
【速報】京急線が午後4時半すぎに運転再開 沿線火災で横浜~上大岡で運転見合わせ1月4日
-
常磐道の中郷SAで駐車中の乗用車が炎上 けが人なし 北茨城市1月4日
-
京急線が沿線火災で横浜~上大岡で運転見合わせ 再開は午後4時見込みに1月4日
-
Uターンラッシュピーク 高速は最大20km渋滞予測1月4日
-
新年恒例フグの初競り 最高値1kg 1万8000円 山口・下関市1月4日
-
埼玉 ごみ処理施設で回収したごみから出火 半日以上延焼中1月4日
-
羽田と成田 海外からの帰国ラッシュ 高速は最大20km渋滞予測1月4日
-
Uターンラッシュがピーク 各交通機関 朝から混雑1月4日
-
日本海側で局地的大雪 平年の3倍以上の積雪も1月4日
-
京都 未明の火災で1人死亡 住人の高齢女性と連絡取れず1月5日
-
京急線の沿線で住宅火災 横浜~上大岡の上下線で運転見合わせ 午後2時再開見込み1月4日
-
【SDGs】地元の恵みを廃棄せず食文化の向上につなげる1月4日
-
「ごみが燃えている」ごみ処理施設で火災 12時間以上延焼中 埼玉・川口市1月4日
-
京急線の沿線で住宅火災 横浜~金沢文庫の上下線で始発から運転見合わせ 再開は未定1月4日
-
しらす干しにフグ混入か「絶対食べずに店に連絡を」1月5日
-
Uターンラッシュ 各交通機関上りはきょうも混雑予測1月4日
-
Uターンラッシュ 4日も鉄道に空の便“大混雑”1月4日
-
響く絶叫!赤ちゃん土俵入り「立神相撲」が復活1月4日