【能登地震1年】故郷を見つめ寄り添い続けた1年 カメラマンとして…被災者として…
2025年01月01日 18:47
■カメラマンとして…被災者として…
能登の寒空に咲いた、復興を願う花火。特別な思いでファインダーをのぞいていたのは、石川県輪島市出身の小田原寛カメラマン。1年前のきょうも、カメラを回していました。
北陸朝日放送 小田原寛カメラマン
「裏山が崩れました」
「なんだこれは…」
自宅を飛び出し、火災現場へ。到着したのは、地震発生からおよそ1時間半後でした。
小田原寛カメラマン
「輪島市河井町です。大規模な火災が発生しています。風にあおられ、炎が高く舞い上がっています」
多くの観光客を受け入れてきた朝市通り。小田原さんが子どもの頃から慣れ親しんだ場所でもありました。
小田原寛カメラマン
「まるで空襲でもあったような、一面焼け野原になっています。なんだこれは…」
輪島市では181人が死亡し、1万棟以上の住宅が被害を受けました。川の近くにある小田原さんの自宅も半壊。燃料も、水もありませんでした。
小田原寛カメラマン
「冷凍の豚肉なんですけど、冷蔵庫に電気が来ていないので、すべて溶けてしまうので、使ってしまおうと思います」
当時、カメラに残されたバッテリーはほんのわずか。しかも、ピントを合わせる先は、自分と同じ被災者です。
小田原寛カメラマン
「ここから住民の方が救出されて出てきたんですよ。その時撮っていたけどやめた。これはいかんわと」
傷付いた故郷のためになるのだろうか。葛藤もありました。
小田原寛カメラマン
「現地の人間がこの被災地を撮るってつらい。知っている人が苦しんでいて、知っている人が泣いていて、ちょっと撮りづらい。しんどい。申し訳なさ過ぎて」
あちこちで道路の隆起が起き、金沢市と能登半島を結ぶ大動脈は寸断。復興を阻みました。
数カ月経っても変わらない現状に、もどかしさが込み上げます。
小田原寛カメラマン
「俺たちの美しい街を破壊しやがって」
さらに、追い打ちをかける出来事が…。
小田原寛カメラマン
「あまりのことに言葉になりません、ここは道です。道路です。取材に出ようと家を出たのですが、村から出ることすらできません。土石流のような流れになっています。田んぼも冠水しました。田んぼと川の水位の差がほとんどなくなってきています」
元日の悪夢が脳裏をよぎります。土砂崩れの恐れがあるため、車中での避難を余儀なくされました。
小田原寛カメラマン
「再び雨脚が強くなってきました。なかなかつらい夜になりそうです」
9月の濁流は、人々の希望ものみ込んでしまいました。
小田原さんの田んぼに土砂が流れ込み、震災後に自ら植えた稲はほぼ全滅。その成長を復興と重ね、見守ってきましたが、収穫直前でダメになってしまったのです。
小田原寛カメラマン
「なんとか復旧させて無事育って、あのひどい地震に俺たち打ち勝てたんだという。それがあの豪雨で一瞬で破壊されつくして」
心が折れかけた時、支えてくれたのは輪島の人たちでした。もう一度やり直せるようにと必要な重機をそろえてくれ、新たに田植えができる場所まで見つけてきてくれたのです。
小田原寛カメラマン
「何においてもそうだった。みんなが助け合ってきた。僕も救われたし、色んな人のお手伝いに行ったし、みんなが助け合って」
自分も輪島の復興を支えたい。仕事の傍ら、ボランティアを始めました。きょうは、船大工さんの手伝いです。
山崎造船所 山崎葵さん
「(Q.小田原さんがいると?)楽しいしね。わーわー言いながらね。暗い感じで仕事してても面白くない」
仮設の工場を作り、春までの再開を目指します。
小田原寛カメラマン
「楽しいですよ。再建を自分たちも下支えしながら一緒に復興していくっていう実感が湧く」
12月、火災のあった朝市では解体作業が行われていました。
小田原寛カメラマン
「僕が撮っていたあの頃、重機があるあの辺に人のにぎわいがあった。ずっと昔のことのようだけど」
この場所で15年間、輪島の今を伝えてきました。
小田原寛カメラマン
「この地が好きだから皆残って、歯食いしばって、なんとか元の姿に近付こうと皆、必死でもがいている。輪島大丈夫じゃないか、能登大丈夫じゃないかと思われつつある。違う。全然終わってない。この街の現状をどんどん伝えていかないと」
この日は、新潟県長岡市の小学生たちが企画した復興花火の打ち上げです。誰も想像していなかった元日の地震に、水害。故郷を見つめ、寄り添い続けた1年でした。
復興花火を企画した新潟・長岡市の小学生
「(Q.花火はいかがでしたか?)すごくきれいだったし、成功したこともうれしかった。石川の人たちがこれを通して元気になってほしい」
「復興に向かって頑張ってほしい気持ちと、大切なものを奪われてしまったけど、これからも頑張って未来に向かっていってほしい」
カメラを止めた途端…。
小田原寛カメラマン
「元気もらえました。取材しているのか元気もらいに来ているのかよく分からないです。こんなにたくさん頑張ってって言われたら絶対引けない」
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