「103万円の壁」引き上げどこまで?経済対策案 自民“丸のみ”3党合意

2024年11月20日 22:04
 「103万円の壁」を巡り、20日に大きな節目を迎えました。自民、公明、国民の3党が引き上げで合意。となると、今後はこの壁がどこまで引き上がるのかが焦点に。政治部の記者が解説します。 ■経済対策案 自民“丸のみ”3党合意  年収103万円の壁の見直しとガソリン減税が本格的に動き始めました。  自民と公明の与党と国民民主党の間で行われている「経済対策の協議」と「税制改正の協議」のうち経済対策については20日、3党が合意しました。 自民党 小野寺政調会長 「私ども自由民主党そして公明党は、国民民主党の要望を可能な限り反映させるべく対応して参りまして」  与党側が可能な限り譲歩したという合意案では、103万円の壁については「税制改正のなかで議論し、引き上げる」と明記し、「ガソリン減税」については「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」という文言が経済対策に盛り込まれるということです。 国民民主党 浜口政調会長 「103万円の壁については令和7年度の税制改正の議論のなかで引き上げると言い切っていただいた。このことは高く評価していきたいと。まさに103万円の壁の第一歩が踏み出すことができる」  南米訪問の日程を終え、帰国の途についた石破総理大臣はブラジルを離れる前にこう話しています。 石破総理大臣 「いわゆる103万円の壁対策につきましては、税収にいかなる影響を与えるか等々、様々な指摘がございます。このことにつきましては私もよく認識を致しております。しかしながら各党の政務調査会長あるいは税制調査会長の間で丁寧に協議を進めたいと」  政府は22日に経済対策を閣議決定し、その経済対策の裏付けとなる補正予算を国民民主党の協力を得て成立させたい考えです。  20日に3党が交わした合意文書の中身を見ると、「補正予算について年内の早期成立を期す」と明記されています。 国民民主党 浜口政調会長 「(Q.国民民主党は補正予算に賛成する意思を示したことになる?)これが着実に実行されるかどうか、この点が極めて重要だと。その条件付きですけれども、反対するということにはならないんではないかなと」  そんななか、20日から3党による「税制改正の協議」も本格的に始まりました。 国民民主党 古川税調会長 「国民民主党からの与党への来年度税制改正に関する要望一覧、お渡しをさせていただきました」  国民民主党が与党側に提示した要望は23項目ありますが、そのうち103万円の壁対策とガソリン減税の2つを「最重点」と位置付け、さらに消費税を時限的に5%に引き下げることも与党に求めました。 古川税調会長 「少なくとも最重点と重点項目については協議事項とさせていただきたい」  103万円の壁については所得税の非課税枠を103万円から178万円に引き上げるよう求めました。 ■“103万円の壁”引き上げ どこまで? 政治部(与党担当) 大石真依子記者 「今回、自民党はほぼ国民民主党の主張をのんだ形です。自民党としては、まず短期的には今年度の補正予算案への賛成を取り付けたい思惑があります。ある自民党幹部はさらに先を見据えていて、『ここで税の話もきっちり議論して信頼関係を作ることが、来年に向けた3党の信頼につながっていく。来年度の本予算でも協力を得られるようにしたい』と話しています」  与党内からは103万円の壁対策で一番難しい「財源」の議論を国民民主党が与党に丸投げする姿勢に不満の声も…。 自民党ベテラン議員 「無責任にもほどがある。どこまでいっても与党にはなれない」 政治部(与党担当) 大石真依子記者 「『103万円の壁』を巡っては、これから税制改正に向けて具体的な上げ幅をどうするか議論がスタートします。国民民主党は、最低賃金の上昇率を基準にして178万円への引き上げを求めていて、きょうの3党での税制協議の場で与党に対して『賛成できないのであれば、どう引き上げるのか、対案を出してほしい』と宿題を出しています。仮に178万円に引き上げると、国と地方で7兆円から8兆円程度の大幅な減収が見込まれるため、満額回答は難しいというのが大方の認識です。財源を抑えるためにも、最低賃金ではなく物価の上昇率を基準に考えるべきだとの声もあり、まさにこれから与党内で税調の議論が始まるので、落としどころを探ることになります」  いよいよ具体的な議論に入る103万円の壁の見直し。来年度の税制改正に向けて動き始めました。

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